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予兆保全AI搭載RBM SaaS

NEDO助成事業 ConnectedIndustries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業

AIシステム開発促進事業と業界共用データ基盤の連携開発


<定量RBM用分散型データ基盤とAI開発>

(予兆保全AI搭載RBM SaaS)


【事業の目的】
 リスク(破損確率×破損の影響度)を基準とするプラント保全方法であるRBM(リスクベースメンテナンス)は、リスク評価ソフトを用いてリスクを算定し、リスクによる優先度を基準に保全(検査、補修、更新など)を行う方法であす。設備管理の追跡性、説明性を担保し、保全コストの最適化をもたらす方法として世界的に普及が進んでいます。
 現状、世界では欧米のコンサルティング会社が独自のRBMソフトを用いてRBM実施事業を行っています。国内では、(一社)日本高圧力技術協会(以下HPIと記す)がRBM規格(HPIS Z106,Z107)を発行しており、これに準拠したRBMソフトを用いたRBMが石油精製、石油化学プラントで実施され始めたところです。2017年に高圧設備の開放検査間隔を最大8年に延長できる法改正(スーパー認定)がなされた際、認定のためにRBMの実施が推奨されたことにより、RBM実施への機運が急激に高まっています。また、国内には、高度経済成長期からプラントの安全操業を支えたプラント保全の熟練技術者が多数いてプラントの安全を支えていますが、高齢化が進んでいます。一方、コンピュータの急激な進歩によって、熟練技術者の暗黙知をAIにすることが可能となってきました。
上記の状況を踏まえ、本事業では、以下の開発を行い、安全な国日本の技術と経験を取り込んだRBMシステムを構築し、世界的なRBM事業展開を行うことを目的としています。

(1)RBMに使用するデータを安全に共有するための分散型データベースの開発
(2)RBMに使用する損傷データによる予兆保全AIの開発。
(3)予兆保全AIを搭載したクラウドRBMソフトAI搭載RBM SaaS)の開発

 上記(1)〜(3)の開発により、事業所からインターネットを介して、随時ソフトを利用できるようになり、RBMの普及→共有データ増→予兆保全AIの精度向上のサイクルを回せるエコシステム構築を目指します。

【事業の概要】
 事業の概要及び最終イメージを図1に示します。RBM実施事業者は、予兆保全AIを搭載したRBM SaaSにクラウドを介してアクセスし、必要データをソフトに入力し、リスク評価を行い、リスクを基準とするメンテナンス(RBM)を実施します。RBM実施に必要な (SaaSに入力された) データは、分散型データベースに安全に格納され、予兆保全AIの開発および予測精度向上のデータとして活用されます。AI搭載RBM SaaSの利用が増えると、データが増え、予兆保全AIの精度が向上し、信頼性が増すことで、AI搭載RBM SaaSの利用がさらに増えるという好循環がもたらされます。

事業の概要及び最終イメージ
図1 事業の概要及び最終イメージ

1.分散型データベースの開発
 (株)IMC(以下、IMC)が保有するRBM用データフォーマットをベースにIOTA財団(以下、IOTA)の有向非巡回グラフ(DAG)を取り込んだ業界共用データベースを開発します。
 サイバーアタックに対する耐性を強化し、データ・インテグリティの安全性を向上するため、ブロックチェーンを利用した分散型データベースを採用します。Proof of Work に依存する、狭義のブロックチェーンにはスケーラビリティの限界があるため、当プロジェクトの分散型データベースの基盤となるブロックチェーンには、データのリアルタイム性を重視し、広義のブロックチェーンであるIOTAの有向非巡回グラフ(DAG)を利用します。分散型データベースへのデータの取り込みにおいて、データ供給者である企業・プラントのアイデンティティを秘匿したまま、有益なデータを利用できる Masked Authenticated Messaging を利用することによって、データ共有の抵抗を軽減します。

2.予兆保全AIの開発
 既存のRBMソフトで熟練技術者の暗黙知に頼っていた、下記(1)~(3)のような熟練技術作業の代替を可能にするAIから構成される予兆保全AIを開発します。

(1)損傷機構の設定AI
(2)検査有効度の評価AI
(3)破損確率算定AI

 (1)及び(2)のAI開発では、ベストマテリアが保有する熟練技術者の損傷判断機能などにおけるアルゴリズムを明確にし、(公)化学工学会産学官連携センター SCE-Net(以下、SCE-Net)が保有する多くの損傷機構判断事例を含めて、ルールベースシステム及び機械学習よるAIを作成します。
 また、(3)のAI開発では、横浜国立大学が破損確率算定AIモデルを作成し、モンテカルロシミュレーションによりデータを発生した上でモデルを検証し、最終的に実損傷データを適用して検証します。これにより、破損機構を特定せず破損確率を算定する方法が開発され、熟練技術者がほとんど関与しない予兆保全AIが開発されます。
 (一社)日本高圧力技術協会(以下、HPI)は、予兆保全AIの手法の正当性および予知精度を検証する方法を作成します。ロイドレジスターグループリミテッド(以下、LR)は、予兆保全AIについて海外ユーザーが使用承認するための方法を調査し、AI作成仕様にフィードバックします。
 予兆保全AIは、上記検証を経て完成とします。
 開発された予兆保全AIは、既存のRBMソフトに搭載されて、3.で述べるようなAI搭載RBM SaaSとなります。図2に既存RBMソフトにおけるリスク算定プログラムと予兆保全AIを組み込んだリスク算定プログラムの違いを示します。

予兆保全AI搭載RBM SaaS
図2 既存のRBMソフトとAI搭載RBM SaaS

3.AI搭載RBM SaaSの開発
 IMC保有のRBMソフト(uni-Planner)をベースに、本事業では、ローカルのコンピュータに依存せず、上記分散型データベースとリンクして双方向のデータのやりとりが行え、予兆保全AIエンジンを搭載したクラウド・ベースのSaaSを開発します。
  AI搭載RBM SaaSプロトタイプの試用と検証を2021年から国内石油化学2社と海外石油精製1社の協力を得て実施します。テストと改良を繰り返し、初期のアルファ版(AI未搭載)からベータ版、RC版(Release Candidate)までを2021年度末(2022年2月)までに終え、事業スタートへのスムーズな移行を行います。

4.発表および調査
 ブロックチェーン及びAIという急速に進化している技術の海外動向をリアルタイムで把握し、当開発に反映させるため発表と調査を実施します。国内のRBMシステム活用は世界的に遅れている傾向がありますが、新しい技術を導入したRBMシステムの需要、規模、導入のタイミングを継続的に把握し、プレ・マーケティングも兼ねて、研究者、技術者だけでなく、プラント経営者などにも開発の趣旨と進展を共有し、潜在的な市場の反応を感知することを目的として、以下の発表の機会を積極的に生かしていきます。

(1)横浜国立大学「疲労破面解析AI開発」プロジェクトとの共同発表会(予定)。
(2)2020および21年のHPI講演大会(春秋)で発表(予定)。
(3)プラントメンテナンスショー(メンテナンス・レジリエンスOSAKA2020)(2020.7.29)で1ブースを使用して発表(新型コロナ流行のため中止)
(4)RIMAP*4会議(欧州)で発表。
      *4 Risk Based Inspection and Maintenance Procedures for European Industry